見解書・Q&A

見解書

けい酸塩系表面含浸材について

Q:けい酸塩系表面含浸材とは?

図 けい酸塩系表面含浸工法の表面保護工法としての位置づけ(CL137 1頁)

表面被覆工法と表面含浸工法との違い

【表面被覆工法】
被覆材そのものの性能で効果を発揮する。
【表面含浸工法】
液状の材料をコンクリートに塗布、含浸させてコンクリート構造物の耐久性を向上させる。

代表的な表面含浸材

【シラン系表面含浸材】
コンクリート表層に吸水抑制機能を付与する。
(ち密化されない。)
【けい酸塩系表面含浸材】
コンクリートの表層部をち密化することにより、外部からの水、炭酸ガス等の劣化要因の侵入を抑制し、コンクリートの耐久性を向上させる。

土木学会:けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)コンクリートライブラリー137(以下CL137)では、けい酸アルカリ金属塩を主成分とする液体材料で、コンクリートに含浸し、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応してセメント水和物に近い組成のC-S-Hゲルを生成し、コンクリート表層部を緻密化する等して改質させる機能を有する材料、と規定しています。

緻密化することにより外部からの水、炭酸ガス、塩化物イオン等の劣化要因の侵入を抑制し、コンクリートの耐久性を向上させます。

主成分によりけい酸リチウム系、けい酸塩混合型、けい酸ナトリウム系、けい酸カリウム系に分類されます。 また改質機構により固化型反応型に分類されます。

けい酸塩系表面含浸材の種類と特徴(CL137 11頁)

種類 特徴
固化型けい酸塩系表面含浸材
  • 材料自体の乾燥により固化が進行し、その固化物によってコンクリート中の空げきを充てんする。材料が乾燥した後の固化物は難溶性である。ただし、含浸の初期段階である溶液時には、反応型けい酸塩系含浸材と同様に、コンクリート中の水酸化カルシウムとの反応によりC-S-Hゲルを生成する。
  • 改質効果を発現させるためには、乾燥固化物の生成を促す必要があり、養生期間中はコンクリートを乾燥状態に保つことを必要とする。
  • 主成分として、けい酸リチウムが高い質量割合で混合されている。
反応型けい酸塩系表面含浸材
  • コンクリート中の水酸化カルシウムとの反応によりC-S-Hゲルを生成して、コンクリート中の空げきを充てんする。未反応のまま残存している主成分が乾燥により析出しても、水分が供給されると再度溶解し、水酸化カルシウムとの反応性を有する。
  • 改質効果を発現させるためには、材料を溶解状態にしておく必要があり、養生期間中はコンクリートを湿潤状態に保つことを必要とする。
  • 主成分として、けい酸ナトリウムまたはけい酸カリウムの単体、もしくはその両者が高い質量割合で混合されている。

図 主成分と改質機構の関連(CL137 12頁)

Osmoはけい酸塩混合型・反応型で、新設及び既設構造物に適用できます。
Osmo-xpはけい酸ナトリウム系・反応型で、新設及び断面修復後特化型です。
Osmo-kkはけい酸リチウム系・固化型で、既設(中性化が進行している構造物)特化型です。

浸透メカニズム

Q:けい酸塩系表面含浸材(Osmoシリーズ)の特色は?

1.コンクリートの性状を変えません。

Osmoシリーズはすべて無色透明です。施工後もコンクリートの劣化状況を確認出来るという特色があります。

2.再施工が可能です。

施工後はコンクリートと同様と考えてかまいません。

3.安全性が高い。

浄水場等の水道設備、農業土木、樋門、水門にも適用が可能です。
OsmoシリーズはJWWA Z 108 2004「水道用資機材-浸出試験方法」に適合しています。

Osmo

Osmo-xp

Osmo-kk

4.施工が簡単で他の工法と比較して安価である。

コンクリートに塗布(噴霧、刷毛ローラー)するという簡単な施工です。
弊社のHPに施工VTR、詳しい施工要領を用意しています。
Osmoシリーズは商品で提供しています。他社のほとんどが材工での取り扱いとなっています。そのため施工費用が高くついたり、工程を組むのが難しかったりします。

5.他の工法との組み合わせが可能です。

施工後はコンクリートと同様と考えてかまいません。
例えばOsmoシリーズを塗布した後、シラン系撥水剤を施工することが可能です。
また施工後に表面被覆することも可能です。

6.塗装または仕上げ剤の施工を妨げません。

施工後はコンクリートに浸透し、表面にはほとんど残存しません。そのため付着強度に影響を与えません。(実際の施工にあたり、付着強度試験を行ってください)
施工後に防水シートを施工することも可能です。
また摩擦係数にも変化がありません。DFテスター(舗装路面などの滑り抵抗を測定する機材)によりOsmo、Osmo-xpを塗布したものと無塗布のものとの数値に変化がないことを確認しています。コンクリート舗装の耐久性向上に安心してお使いいただけます。

Osmo付着試験結果
引張強度測定結果(N/mm2)

アクリル系
(エマルジョン)
破断箇所 アクリル系(複層) 破断箇所 ウレタン系 破断箇所
無塗布 2.7 B 2.2 C 3.3 A
Osmo 2.7 C 2.2 C 3.2 A

Osmo-xp付着試験結果
引張強度測定結果(N/mm2)

アクリル系
(エマルジョン)
破断箇所 アクリル系(複層) 破断箇所 ウレタン系 破断箇所
無塗布 2.9 A 1.8 C 3.0 A
Osmo-xp 2.9 C 1.6 C 3.0 A

破断箇所による分類

A:基板破壊 B:基板と塗膜の界面破断
C:塗膜内の凝集破断 D:ジグと塗膜の界面破断

Osmo DFテスター測定結果

塗布\速度(km/h) 20 40 60
無塗布 0.62 0.61 0.62
0.54 0.53 0.53
0.59 0.55 0.56
OSMO塗布 0.56 0.53 0.54
0.60 0.59 0.61
0.60 0.58 0.60

Osmo-xp DFテスター測定結果

塗布\速度(km/h) 20 40 60
無塗布 0.56 0.54 0.53
0.58 0.57 0.58
Osmo-xp塗布 0.58 0.58 0.56
0.61 0.59 0.58
定義 すべり摩擦係数 測定速度
一般国道等 0.40 一般国道60km/h
一般部
危険性の高い箇所 0.45
高速国道 0.35 高速国道80km/h

※参考表 日本道路協会 湿潤路面,路面温度35℃

Q:けい酸塩系表面含浸材の問題点をお知らせください。

1.施工確認、性能確認が難しい。

けい酸塩系表面含浸材の施工後はコンクリートの性状が変化しません。(わずかに濡れ色が残る程度です)そのため施工したのかどうかは目視で判断できません。今までは空缶管理か、けい酸塩系表面含浸材が強アルカリであるので、フェノールフタレイン反応を利用して施工した個所が赤く変色するかで判断していました。しかしアルカリに反応しているからと言ってしっかりと施工したかどうかは正確に判別しているとは言えませんでした。(全く別途のアルカリ性の薬剤を塗布しても同様の反応をします)

弊社は現場透水量試験器を開発しました。現場で簡単に正確に施工確認、性能確認ができます。壁面用、水平部用、天井面用があります。
CL137では完工検査の実施が義務付けられました。現場から採取したコンクリートコアを試験体とする加圧透水性試験あるいは現場において実施する透水量試験を最も信頼性の高い方法として推奨しています。

CL137では下記の試験方法が記載されています。しかし高価(数十万円)でありながら明確な数値の差異が出にくいものです。(誤差といってもよい程度の差異、場合によっては逆の数値が出ることもある)

  • 表層引張強度試験
  • 表面反発度試験
  • 表面電気抵抗性試験
  • 表層透気試験
  • 加圧透水性試験(コンクリートコア抜きが必要)

試験場所

[工事名]
東北中央自動車道 栗子トンネル
(山形側)工事
[立会者]
三井住友建設株式会社

R側-透水量測定結果(7日間)

  塗布前(NO) 透水量(ml) Osmo(OS) 透水量(ml) 抑制率
R1 NO-1 140 OS-1 19 86%
NO-2 90 OS-2 11 88%
NO-3 32 OS-3 2 94%
R2 NO-4 214 OS-4 52 76%
NO-5 172 OS-5 44 74%
NO-6 269 OS-6 48 82%
R側 NO(平均) 153 OS(平均) 29 81%

2.既設構造物には効果が限定的、またはほとんど効果がないといわれている。

中性化が進行しているコンクリートはコンクリート表層部のカルシウム成分が減少、消失しているため、けい酸塩系表面含浸材が反応できないためです。
Osmo-kkの開発により解決しました。(特許第4484872号)
Osmo-kkはけい酸リチウム系・固化型の表面含浸材です。コンクリート表層部の空げき、微細クラックから内部に浸透します。コンクリート内部の水酸化カルシウムと反応出来なかった成分は乾燥にともなって難溶性の固化物となって空げきを充てんし、緻密化します。Osmo-kkは乾燥固形分量が施工面積1m2あたり58gと多く高い性能を発揮します。中性化を促進させた供試体での透水量試験の結果、71%の透水抑制効果を確認しています。

試験結果

供試体 透水量(ml) 抑制率(%)
無塗布 無塗布平均値 塗布 塗布平均値
A-1 32.5 28.0 7.3 7.4 73.6
A-2 31.1 7.3
A-3 20.3 7.5
B-1 17.1 23.8 6.4 6.0 74.8
B-2 20.8 5.4
B-3 33.5 6.1
C-1 33.7 25.1 8.8 8.7 65.3
C-2 17.6 6.8
C-3 23.9 10.5
平均抑制率(%) 71.2

試験終了後の断面状況

透水量試験終了後の供試体を切断し、断面の中性化の進行の状況を確認しました。

Q:色々な会社の製品のカタログを見ていると魔法の薬剤のような表記が多いのですが。

けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)コンクリートライブラリー137が刊行され、性能に関して、規定された試験方法による結果に基づいた表記がなされることになりました。これにより様々な製品の比較が容易になりました。

またCL137では使用期限の遵守、原液での使用、使い切りが求められています。
製造元、販売元のみならず施工者にも規制がなされました。
発注者には性能確認が義務付けられました。

Q:Osmoシリーズには3種類ありますが、使い分けはどうなっていますか?

  • Osmoは新設・既設総合型です。(けい酸塩混合型・反応型)
  • Osmo-xpは新設および断面修復特化型です。(けい酸ナトリウム系、・反応型)
  • Osmo-kkは既設特化型です。(けい酸リチウム系・固化型)

ex)浄水場の耐震補強工事では

  • 断面修復した箇所、増厚した箇所にはOsmo-xpをお使いください。
  • 中性化が進行しているが、劣化過程が潜伏期で、塩化物イオン濃度が腐食発生限界濃度には至っていない。費用のことも考慮して既設のままで長寿命化対策を施したい箇所にはOsmo-kkをお使いください。

ex)橋梁の補修工事

  • 断面修復した箇所にはOsmo-xp
  • 既設のままで長寿命化対策する箇所にはOsmo-kk

ex)空港の駐機場の打ち替え工事で、無数の乾燥収縮クラックが入った

Osmo-xpを面で塗布してください。Osmo-xpは反応型けい酸塩系表面含浸材です。コンクリート中に残存している未反応の薬剤は水分が供給されると再度溶解し、水酸化カルシウムと反応します。水酸化カルシウムとの反応を繰り返すことにより、長期的に空げきを充てんすることができます。(再反応性)Osmo-xpは乾燥固形分量が施工面積1m2あたり115gと極めて多く、高い再反応性があり、自閉効果が期待できます。

ex)屋内での施工や海上の施工で水の使用をできるだけ避けたい場合

Osmo-kkをお使いください。Osmo-kkは乾燥状態で施工します。施工後の洗浄には水道水を使用します(施工後表面が白くなる事があるため)が水の使用を少なくすることができます。

ex)樋門、水門に適用する場合

新設、断面修復後はOsmo-xpをお使いください。既設構造物へはOsmo-kkをお使いください。ただし、Osmo-kkは乾燥状態での塗布のため、水がかかる部分では2回目の塗布後薬剤が乾くまで水がかからないよう養生が必要です。

Osmoシリーズデータ一覧表(JSCE-K572-2012による)

項目 Osmo Osmo-xp Osmo-kk
用途 新設・既設 総合型 新設・断面修復後特化型 既設特化型
種類 けい酸塩混合型反応型 けい酸系ナトリウム反応型 けい酸系リチウム固化型
乾燥固形分率 16.2% 28.7% 19.4%
乾燥固形分量 32g/m2 115g/m2 58g/m2
密度(比重) 1.100~1.180g/cm3 1.220~1.300g/cm3 1.100~1.180g/cm3
pH値 12.0~12.8 12.2~13.0 11.2~12.0
色(薬剤) 無色透明
含浸深さ(※1) 6mm 6mm 3mm
中性化深さ比 76%(抑制率 24%) 54%(抑制率 46%) 77%(抑制率 23%)
塩化物イオン浸透深さ比 75%(抑制率 25%) 78%(抑制率 22%) 70%(抑制率 30%)
透水比 38%(抑制率 62%) 18%(抑制率 82%) 27%(抑制率 73%)
吸水比 82%(抑制率 18%) 54%(抑制率 46%) 73%(抑制率 27%)
質量損失比
(スケーリングに対する抵抗性試験)
57%(抑制率 43%) 31%(抑制率 69%) 55%(抑制率 45%)
ひび割れ透水比 12%(抑制率 88%) 0%(抑制率 100%) 3%(抑制率 97%)
加圧透水比 83%(抑制率 17%) 17%(抑制率 83%) 24%(抑制率 76%)
中性化したコンクリートでの透水比(※2) 67%(抑制率 33%) -
(差異は認められない)(※3)
29%(抑制率 71%)
施工後外観状況 わずかに濡れ色を呈する程度の変化
塗布量(原液) 200g/m2 400g/m2 300g/m2
施工ロス率 上向き:15% 横向き:10% 下向き:5%
塗布対象状況 湿潤状態
(目視状況:全体に濡れ色が残っている状態
指触状況:わずかに指が湿る程度:含水率約7%)
乾燥状態
(目視状況:濡れ色が残っていない状態
指触状況:指は水で濡れない状態:含水率5%以下)
安全性 有害物質を検出せず
注意事項 強アルカリ性
保管 5~40℃の直射日光を避けた環境
設計価格
(材料)
2,000円/m2
設計価格
(材工共)
3,500円/m2
特許 特許第4484872号 特許第4484872号

※1 含浸深さは試験方法が定められました。以前、公表している数字とは異なります。(Osmo)
※2 二酸化炭素濃度5%にした中性化槽内で2週間中性化を促進させた供試体を用いて、JSCE-K572-2012透水量試験に準拠した試験の結果です。
※3 Osmo-xpは反応型であり、コンクリート表層部の水酸化カルシウムが減少・消滅している供試体での試験のため、薬剤と反応せず、効果を発揮できません。
参考 透湿度試験:JSCE-K572-2012において透湿度試験の方法が定められておりません。けい酸塩系表面含浸材はその性質上、透湿度試験に関して問題がないためだと思われます。

新設または潜伏期にある構造物を対象とする場合の適用範囲(CL137による)

目的 改質する性能 混合型けい酸塩系表面含浸材
Osmo
反応型けい酸塩系表面含浸材
Osmo-xp
固化型けい酸塩系表面含浸材
Osmo-kk
劣化に対する抵抗性の向上 鋼材を
保護する
性能
中性化抑止性
塩害抑止性 陸上、内陸、海上大気中
飛沫帯、
干満帯
海中 - - -
凍害(スケーリング)抑止性
化学的侵食抑止性
コンクリート表層部の改質 ひび割れ透水性
防水性
すり減り抵抗性
表面硬度
アルカリ性付与性
中性化したコンクリート
での防水性
-
適用する面 上向き
垂れ防止が必要

垂れ防止が必要

垂れ防止が必要
下向き
横向き
施工時の環境 気温 5℃未満
5℃以上30℃未満
30℃以上
散水が必要

散水が必要
強風下
飛散防止が必要

飛散防止が必要

飛散防止が必要
コンクリート表層部の状態 乾湿 乾燥
湿潤
付着物 あり
なし
同一工法による補修履歴がある場合の適用
対象構造物 新設構造物
水の使用を控えたい場合
既設構造物
アルカリシリカ反応による膨張抑制
他工法との組み合わせで可能

凡例)○:適用可能な範囲,△:要検討,-:適用範囲外

Osmoクラック閉塞用コンシーラーセットについて

Q:どうして0.2mm未満のクラックに適用するのですか?

新設コンクリートに発生した乾燥収縮によるマイクロクラックが問題視されています。0.2㎜以上のクラックに対する製品は従来より数多く存在しますが、0.2㎜未満のクラックに対しては有効な製品がありませんでした。樹脂系のものは粘性が高く、浸透が難しかったり、紫外線により変色することがありました。また有効性をうたっている製品でも、透水抑制性能について明確な表記がない製品がほとんどでした。以上のような状況に鑑み製品開発いたしました。

  • Osmoクラック閉塞用コンシーラーセットは簡単な施工(刷毛塗り)です。
    充填材がクラック内部に浸透した後硬化します。充填材を刷毛で塗布すると、クラック内部の空気が泡になって出てきます。充填材が内部に浸透しているからです。充填材は後施工のコンシーラーと一体化し剥がれにくくなります。またクラック跡が分かりにくくなります。

    充填材の浸透性能
    右の写真はクラック充填材の浸透性を確認するために、蛍光塗料を混入したものを施工し、割裂面にブラックライトを当て撮影したものです。(壁面に施工)

  • 閉塞材、コンシーラー、Osmo-xpと3工程が必要です。88%の透水抑制効果があります。
  • 現場透水量試験器を使用して効果確認も可能です。

Q:天井面にも施工が可能ですか?

簡単な注入により可能です。お問い合わせください。

Q:空港の駐機場のような大面積に多数のマイクロクラックが発生した場合はどのような対応方法がありますか?

Osmo-xpを面で塗布してください。Osmo-xpは反応型けい酸塩系表面含浸材です。コンクリート中に残存している未反応の薬剤は水分が供給されると再度溶解し、水酸化カルシウムと反応します。水酸化カルシウムとの反応を繰り返すことにより、長期的に空げきを充てんすることができます。(再反応性)Osmo-xpは乾燥固形分量が施工面積1m2あたり115gと極めて多く、高い再反応性があり、自閉効果が期待できます。