07.けい酸塩系表面含浸材の下地改質工への適用性
けい酸塩系表面含浸材と各種表面被覆材の付着強さ試験まとめ
【けい酸塩系表面含浸材】の下地改質工への適用性
表面保護工法(表面被覆・断面修復)の下地改質工への適用性が高い材料です
他の工法ではアプローチの困難なコンクリート表層部(内部)を副作用なく改質できます
【けい酸塩系表面含浸材】で母材コンクリート(下地コンクリート)の改質を行った上で、表面被覆材・断面修復材を施工し、コンクリート表層部と表面(内と外)を二重に保護することでコンクリート構造物の長寿命化が期待できます。
【けい酸塩系表面含浸材】の特徴まとめ
- コンクリート表層部を緻密化し、劣化因子の侵入を抑制します。
- 0.2 mm以下のひび割れを閉塞します。
- コンクリート表層部を副作用なく改質します。
- 他の補修工法に比べ手軽に施工できコストパフォーマンスもよいです。
- コンクリート表層部に含浸し、表面には残存しないので、浮き・剝がれとは無縁です。
【けい酸塩系表面含浸材】の下地改質材としての特徴まとめ
- 母材コンクリートの付着性を損ないません。
- 低予算で予防保全・長寿命化対策ができます。
- 荷重を変えずに、表面被覆工法・断面修復工法の補助・強化を施せます。
- 表面被覆材が剝がれても、緻密化されたコンクリート内部の保護層が劣化因子の侵入を抑制します。
けい酸塩系表面含浸工法と併用する工法の例
- 無機系表面被覆工法(ポリマーセメント系材料など)
- 断面修復工法(セメントモルタル・ポリマーセメントモルタルなど)
- 有機系表面被覆工法
- 塗装工法(エポキシ樹脂系材料・アクリル樹脂系材料・ポリウレタン樹脂系材料など)
- シート工法(はく落防止 ガラス繊維シート・炭素繊維シートなど)
- 耐震補強工法(RC巻き立て・鋼板巻き立てなど)
図1 固化型けい酸リチウム系表面含浸材と表面被覆材の併用
付着強さ試験
当社の【けい酸塩系表面含浸材】である【L-OSMO】シリーズと各種表面被覆材との付着強さ試験では、【L-OSMO】シリーズの無塗布・塗布で接着強さに大きな差異は見られず、付着性を阻害することは確認されませんでした
試験に使用したけい酸塩系表面含浸材【L-OSMO】シリーズには、撥水基やポリマーエマルジョン等は成分に含まれておりませんので、施工後は通常のコンクリートと同様と考えて問題ありません。
(土木学会「けい酸塩系表面含浸工法の設計施工指針(案)」76頁より)
※含浸しきらず表面に残存した薬剤の洗浄は必要です。
※本試験結果をもって全ての表面被覆材と【L-OSMO】シリーズの付着性を保証するものではありません。施工の際は、サンプルをご提供しますので相性確認をお願いします。
固化型けい酸塩系表面含浸材の付着強さ試験結果
固化型けい酸リチウム系表面含浸材【L-OSMO固化型KK】
【L-OSMO固化型KK】の無塗布・塗布で接着強さに大きな差異は見られず、付着性を阻害することは確認されませんでした
反応型けい酸塩系表面含浸材の付着強さ試験結果
反応型けい酸ナトリウム系表面含浸材【L-OSMO反応型XP】
【L-OSMO反応型XP】の無塗布・塗布で接着強さに大きな差異は見られず、付着性を阻害することは確認されませんでした
反応型けい酸塩混合型表面含浸材【L-OSMO反応型SG】
(けい酸リチウム・けい酸ナトリウム・けい酸カリウム配合)
【L-OSMO反応型SG】の無塗布・塗布で接着強さに大きな差異は見られず、付着性を阻害することは確認されませんでした
【シラン系表面含浸材】の付着強さ試験結果まとめ
コンクリート表面への撥水性付与が付着性を阻害するので、下地改質工への適用性は低い
表面含浸材は、【シラン系表面含浸材】(撥水型)と【けい酸塩系表面含浸材】(緻密化型)に分類されます。【シラン系表面含浸材】は、コンクリート表面に撥水性を付与し、コンクリート表層部に吸水防止層をつくる材料です。【けい酸塩系表面含浸材】と比べて遮水性は高い傾向にありますが、付着性能が低下する性質があり、表面保護工法の下地改質工としての適用性は低い材料です。
【シラン系表面含浸材】と【けい酸塩系表面含浸材】の付着強さ比較試験-1
【シラン系表面含浸材】の塗布により接着強さが大幅に低下し、付着性を阻害することが確認されました
反応型SG :反応型けい酸塩混合型表面含浸材L-OSMO反応型SG
シラン① :シラン・シロキサン系表面含浸材(他社製品)
シラン② :アルキルアルコキシシラン系表面含浸材(他社製品)
【けい酸塩系表面含浸材】は、無塗布・塗布で接着強さに大きな差異は見られなかった。
【シラン系表面含浸材】は、接着強さが1.0 N/㎟を下回る場合や、測定不能の場合があった。
【シラン系表面含浸材】と【けい酸塩系表面含浸材】の付着強さ比較試験-2
【シラン系表面含浸材】の塗布により接着強さが大幅に低下し、付着性を阻害することが確認されました
反応型SG :反応型けい酸塩混合型表面含浸材L-OSMO反応型SG
けい酸A :反応型けい酸ナトリウム系表面含浸材(他社製品)
シランA :シラン・シロキサン系表面含浸材(他社製品)
シランB :シラン・シロキサン系表面含浸材(他社製品)
【けい酸塩系表面含浸材】は、接着強さが無塗布と同等の場合や、向上する場合があった。
【シラン系表面含浸材】は、接着強さが1.0 N/㎟を下回る場合や、測定不能の場合があった。
まとめ
【けい酸塩系表面含浸材】は表面保護工法(表面被覆・断面修復)の下地改質工への適用性が高い材料です
【けい酸塩系表面含浸材】の下地改質材としての特徴まとめ
- 母材コンクリートの付着性を損ないません。
- 低予算で予防保全・長寿命化対策ができます。
- 荷重を変えずに、表面被覆工法・断面修復工法の補助・強化を施せます。
- 表面被覆材が剝がれても、緻密化されたコンクリート内部の保護層が劣化因子の侵入を抑制します。
既設コンクリート構造物には【固化型けい酸塩系表面含浸材】、新設コンクリート構造物には【反応型けい酸塩系表面含浸材】をそれぞれ使い分けてインフラ長寿命化にお役立てください。
※含浸しきらず表面に残存した薬剤の洗浄は必要です。
※本試験結果をもって全ての表面被覆材と【L-OSMO】シリーズの付着性を保証するものではありません。施工の際は、サンプルをご提供しますので相性確認をお願いします。