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05.固化型けい酸塩系表面含浸材の中性化したコンクリートへの適用性
中性化を促進させた試験体での透水量試験

中性化を促進させた試験体での透水量試験

1. 試験概要

固化型けい酸塩系表面含浸材が、表層部が中性化したコンクリートを改質(緻密化)することを、中性化を促進させた試験体での透水量試験により確認した。


 


2. 試験体

基板


コンクリート基板 普通ポルドランドセメント使用


配合:水セメント比(W/C)= 55 %


寸法:角柱100×100×400 mm


JSCE-K 572に準拠して作成


 


表面含浸材


固化型けい酸リチウム系表面含浸材:L-OSMO固化型KK(標準塗布量300 g/㎡)



 


3. 試験方法

JSCE-K 572に準拠して作成した基板を、JIS A 1153に準拠して、温度20±2 ℃、相対湿度60±5 %、二酸化炭素濃度5±0.2 %の条件下で14日間中性化を促進させた。促進中性化終了後、基板の片面に【L-OSMO固化型KK】を標準量塗布し、反対側を無塗布とし試験面とした。


【L-OSMO固化型KK】塗布後7日間経過後、透水量試験器を貼付け、注水後試験を開始した。JSCE-K 572に準じて7日間経過後の透水量を同じ試験体の無塗布面、塗布面で比較し透水抑制率を算出した。


 



 


4. 試験結果

7日間経過後の透水量を表1に示す。



 


固化型けい酸塩系表面含浸材による中性化を促進させたコンクリートの遮水性向上により、緻密化が確認された。主成分であるけい酸リチウムの乾燥により生成された難溶性固化物が、表層部が中性化したコンクリートを改質(緻密化)したと思われる。


 


5. 透水量試験終了後の中性化状況

透水量試験終了後の試験体を割裂し、断面の中性化状況を確認した。


 



 


コンクリート表層部が中性化した試験体で透水量試験を行ったことを確認した。


けい酸塩系表面含浸材塗布による、コンクリート表層部へのアルカリ性付与が出来ていないことも同時に確認した。


 


6. 参考

反応型けい酸塩系表面含浸材においても同様の試験を実施した。


 


反応型けい酸ナトリウム系表面含浸材:L-OSMO反応型XP


表層部が中性化したコンクリートへの有効性は認められなかった。


二酸化炭素によりコンクリート表層部の水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに変化していたので、主成分であるけい酸ナトリウムと水酸化カルシウムの化学反応が発生し難く、C-S-Hゲルを生成されなかったのでコンクリート表層部を改質(緻密化)できなかったと思われる。


 


反応型けい酸塩混合型表面含浸材:L-OSMO反応型SG


(けい酸リチウム・けい酸ナトリウム・けい酸カリウム配合)

固化型けい酸リチウム系表面含浸材【L-OSMO固化型KK】には及ばないが、中性化を促進させたコンクリートの遮水性向上により、緻密化が確認された。成分に配合されているけい酸リチウムの乾燥により生成された難溶性固化物が、表層部が中性化したコンクリートを改質(緻密化)したと思われる。


(中性化を促進させた試験体での透水量試験で透水抑制率33 %)


 


 


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